第1回PAWCs月例オンラインセミナー

日 時
2020年7月1日(水) 10:30〜12:00

発表者
永野 博彦 (名古屋大学宇宙地球環境研究所 特任助教)

題 目
NDVIとCO2吸収活性の関係は空間的にどの程度変動するのか?:東シベリアの2つのカラマツ林における比較

要 旨
人工衛星で観測されたNDVIは、CO2動態予測モデルの重要な入力値であり、地上観測された生態系のCO2取り込み速度と、概ね正の相関関係を持つ。一方、CO2取り込み速度とNDVIの関係性が空間的にどの程度変動しているか、についての理解は不十分である。本研究では、東シベリアのカラマツ林2か所(Spasskaya PadおよびElgeeii)を対象に、渦相関法で地上観測されたCO2フラックスデータと各カラマツ林2km四方を対象にMODISで測定されたNDVIデータを使い、日中のCO2取り込み速度とNDVIの関係を Spasskaya Pad と Elgeeii で比較した。2000年から2019年までの各月のMODIS NDVI、およびSpasskaya Padでは2004年から2015年、Elgeeiiでは2010年から2017年の4-9月に測定された日中のCO2フラックス30分値を解析に使用した。いずれのカラマツ林においても、NDVIの春から夏にかけての上昇に伴い、日中のCO2取り込み速度は指数関数的に上昇した。ただし落葉期の9月において、NDVIの低下に対するCO2取り込み速度の低下が、Spasskaya Pad よりも Elgeeii で緩やかであった。また、CO2取り込み速度の長期変動に着目すると、Spasskaya Padでは4月および7-9月に有意な減少傾向であった一方、Elgeeiでは4-6月の減少傾向に加え、7-9月に有意な増加傾向を示した。NDVIは、Spasskaya Padでは8月に、Elgeeiiでは5-8月に有意な上昇傾向を示した。以上より、季節変化に伴うNDVI変化とCO2取り込み速度変化の関係は2つのカラマツ林同士で概ね共通していたが、落葉期や長期間の変動ではNDVIとCO2吸収活性の関係性がカラマツ林同士でも一致しない可能性が示された。発表では、追加解析の結果も交え、議論を深めたい。