第2回PAWCs月例オンラインセミナー

日 時
2020年8月5日(水) 10:30〜12:00

発表者
水落 裕樹 (産業技術総合研究所 地質調査総合センター 研究員)

題 目
光学・マイクロ波衛星データのシナジーによる東シベリアにおける湛水マッピング

要 旨
東シベリアにおける水循環を把握するうえで表面湛水の時空間動態を高解像度・高頻度に把握することは重要である。広域定期観測に有用な手段として、これまで光学衛星センサや衛星搭載マイクロ波放射計・レーダー等を用いた湛水マッピングが研究されてきた。それぞれの衛星センサには観測解像度・観測頻度・湛水への感度などに一長一短があり、複数の異なる衛星データの統合利用(データフュージョン)の重要性が認識されてきている。 本研究ではレナ川やサーモカルスト湿地を含むSpasskaya Pad研究林周辺地域を対象とし、機械学習手法を用いた、光学衛星データ(MODIS)と衛星マイクロ波放射計(AMSR2)のフュージョンを試みた。2種類の機械学習(Random Forest, pix2pix)により、相対的に解像度は高いものの観測頻度で劣るMODISの欠測データをAMSR2データから予測することで、2012年~2018年までの500 m解像度の湛水マップを毎日得ることができた。Random Forestの変数重要度の分析によれば、凍結-融解に関連する季節サイクルを表現するうえではDOY(day of year)が主要な役割を果たしていたものの、河川・湿地における湛水の変動を表現するにはAMSR2から計算した水指数が相対的に重要となることがわかった。一方、pix2pixによる予測では、チューニングが不完全であるためか、Random Forestによる予測と比べ季節変動がうまく表現しきれなかった。また、いずれの手法においても、過去に事例の少ないイレギュラーな湛水イベント(おそらく河川氾濫)では予測誤差が大きくなることが分かった。イレギュラーなイベントを除く各手法の湛水抽出における相対RMSEはそれぞれ18%, 27%となった。今後のモデル研究との融合等を見越し、適切な対象地域・期間・マップの精度等について議論を深めたい。