日 時
2021年4月7日(水) 10:30〜12:00
発表者
佐藤友徳(北海道大学大学院地球環境科学研究院)・玉本 誠(北海道大学大学院環境科学院)
題 目
衛星データを用いた過去34年間の全球の植生活動と気象の関係
要 旨
近年の急激な温暖化にともなう気候変動により植物の成長や開花時期に変化があることが指摘されている。一方、植生と気象の関係が長期的にどのように変化しているのかは必ずしも明らかではない。本研究では、気象の年々変動が植生活動に与える影響を調べること、およびそれが過去から近年にかけてどのように変化したのか調べることを目的とする。植生活動は衛星データから得られる正規化植生指数(NDVI)、気象要素は再解析データから得られる地表面気温、降水量、日射量を使用した。解析対象期間は1982年から2015年で、データの時間間隔は1カ月、空間解像度は0.5度である。すべてのグリッドに対して月ごとに平年値からの偏差を用いて標準化を行った。植生データは各年のNDVI最大値(以降NDVImax)を抽出し、NDVImaxとなる月の気象要素についてグリッド毎に相関分析を行った。
カザフスタンや南アフリカでは地表面気温および日射量とNDVImaxは負の相関がみられたが、降水量とNDVImaxは正の相関がみられた。すなわち、これらの地域では降水量の増加によって植生活動が活発化することを示している。次に、解析期間中で植生活動と気象要素の関係がどのように変化してきたのか調べた。地表面気温や日射量とNDVImaxはカザフスタンや南アフリカ、オーストラリアでは1990年代から2000年代にかけて負の相関が強まった。降水量とNDVImaxはカザフスタンや南アフリカでは1990年代から2000年代にかけて正の相関が強まるが、西シベリアは2000年代の方が相関が弱い。したがって、カザフスタンや南アフリカでは降水量が増加または地表面気温や日射量が減少するほど植生活動は活発になり、2000年代はその関係が強まる。一方で、西シベリアや中央シベリアでは降水量が減少または地表面気温や日射量が上昇するほど植物は成長しやすく、2000年代はその関係が弱まったと考えられる。
