日 時
2021年8月4日(水) 10:30〜12:00
発表者
小谷亜由美(名古屋大学 生命農学研究科)
題 目
東シベリアの森林生態系における春季の季節進行指標の年々変動
要 旨
高緯度地域の冬季から春季への季節進行は、日射量の増加と大気循環場の変化への陸面応答として、融雪、凍結土壌の融解、植物の開花・開葉などとして顕れる。近年、高緯度陸域生態系ではこれらの現象の早期化による、植物生長期間や生態系生産量への影響が観測されている。本研究では、東シベリアの森林生態系の春季の季節進行指標の年々変動とその対応関係を明らかにするため、2か所のカラマツ林観測サイトにおける、融雪、凍土の季節融解、カラマツの展葉、蒸発散・CO2フラックスのオンセットの対応関係を比較した。春季には林内消雪(4月下旬-5月上旬)に続いて、凍土表層の融解(5月上旬)、カラマツの展葉および総一次生産量(GPP)の増加開始(5月上・中旬)、生態系正味CO2吸収の開始(5月中旬)となった。蒸発散はカラマツ根系中心の20cmの融解時期に、GPPはキャノピー展葉時期の前後に増加を始めた。スパスカヤパッドでは、消雪とカラマツ展葉時期はそれぞれ10年あたり約6日と約9日早くなり、4-5月気温の上昇と対応していた。しかし、凍土表層の融解時期やCO2吸収開始時期には有意な変化傾向はみられなかった。2005-2008年に生じた活動層湿潤化による季節融解の促進と下層植生成長によるフラックスソースの変化が重なったためと考えられる。
