日 時
2021年9月8日(水) 10:30〜12:00
発表者
鈴木和良(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)
題 目
シベリア北東部に位置するコリマ川の流量変動に対する永久凍土融解の影響
要 旨
永久凍土の温暖化に伴い、シベリア北東部のコリマ川の観測流量は1930年代から2000年にかけて減少しているが、そのメカニズムはよくわかっていない。コリマ川の水文変化を理解するためには、活動層厚の変化を把握するとともに、長期的な水文気象要素を解析することが重要である。本研究では、水文・生物地球化学結合モデル(CHANGE)を用いてコリマ川流域の活動層厚と水文気象要素のシミュレーションを行い、それらの結果を衛星データや観測データで検証を行った上で、1979年から2012年までの水文変化を明らかにした。
永久凍土の温暖化による活動層厚の増加は、夏季降水量の増加に反して夏季流出量を抑制した。この結果は、陸水貯留量アノマリー(TWSA)の増加が蒸発散量の増加に寄与し、植物の土壌水分ストレスを軽減した可能性を示唆している。また、TWSAを介して降水量と蒸発散量の間には2年のタイムラグがあることが確認された。この結果は、永久凍土域における土壌の凍結融解プロセスが有意な気候メモリー効果をもたらすことを示唆する。
本研究で得られた成果は、北極域の将来変化の理解と適応策の策定に有益であると考えられる。
