日 時
2022年4月6日(水) 10:30〜12:00
発表者
福富慶樹(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)
題 目
夏季の北ユーラシア上で発達する総観規模波動擾乱の構造と性質についての予備的解析
要 旨
北ユーラシア域の代表的な降水システムは前線を伴う温帯低気圧である。この地域には、北緯65~75度付近に北極前線帯(AF)が、北緯50~60度付近に寒帯前線帯(PF)が存在し、長大な降水帯が形成されることで、北極海への河川淡水流出や北方林の維持に寄与している。温帯低気圧の発達を担うのは、約1週間周期以下の総観規模波動擾乱(傾圧不安定波)であるが、広大な北ユーラシア域における総観規模波動擾乱の性質と力学については、これまで十分に理解されていなかった。そこで、過去40年間の夏季(JJA)のデータ解析により、総観規模波動擾乱の統計的分類を試み、降水システムのタイプ別の構造と性質を明らかにすることを目的に研究を行った。現在、大気再解析データ(JRA-55)と降水解析データ(MSWEPv2.8)を用いたデータ解析を進めている。本発表では、EEOF解析と合成図解析を適用して波動擾乱の構造を特定したので、その途中経過を簡単に紹介する。また、降水長期変動に関する研究の経緯についても簡単に紹介する。さらに、総観規模擾乱のタイプ別の発達過程に寄与する背景基本場の構造と力学的役割の差異や、それぞれのタイプに対応するストームトラック活動度の長期変動と背景基本場の変化との関係を調べることで、降水経年変動の駆動源を探索することについての今後の展望を議論したい。
今回は予備的データ解析の結果として北極前線帯(AF)タイプと寒帯前線帯(PF)タイプの総観規模波動を抽出し定義した。AFタイプは北緯70度付近に、PFタイプは北緯55度付近を中心に、波列が北大西洋域から発達開始し、ユーラシア大陸上を増幅しながら東進して北太平洋に向けて衰退していくものである。これらの波動擾乱の伝播に伴う下層温度場や降水変動等を示し、それらの特徴や違いを述べる。
